兵法 2017 9 16

 日本の戦国時代においては、
様々な兵法が使われました。
 奇襲攻撃もあれば、
大軍の同士の戦いもありました。
 このような戦いは、派手なので、
多くの人の記憶に残るでしょう。
 しかしながら、地味な兵法も使われたのです。
それが、「兵糧攻め」という戦法です。
このような戦法を得意としたのが、豊臣秀吉です。
豊臣秀吉は、「兵糧攻め」と「政治力」を巧みに使いこなしました。
 これは、現代風に言えば、「経済制裁」と言えるかもしれません。
こうした「兵糧攻め」は、短期決戦ではなく、
始めから「長期戦」を意図しています。
下手をすれば何年もかかることを承知の上で、
こうした戦法を取るのです。
 さて、現代においては、
「経済制裁」といえば、北朝鮮危機を連想します。
 派手な言動で知られるトランプ政権は、
意外にも、地味な兵法を使っているかもしれません。
戦国時代で言えば、「兵糧攻め」という戦法です。
 国連を使って「経済制裁」、
アメリカの外交力を使って「政治的な圧力」、
金融システムを使って「経済的な圧力」など、
実に手間のかかることを着々と進めていますが、
このような戦法は、戦国時代における「兵糧攻め」という戦法です。
 ついでに、何かと北朝鮮をかばい続ける中国やロシアのイメージダウンを狙っています。
「中国やロシアは、北朝鮮の仲間だ」というイメージを国際社会に印象付ける戦法です。
 北朝鮮から遠く離れた「観客」や、
関係当事国でも勇敢な人たちは、
空母やステルス戦闘機を使った「派手な戦い」を期待するでしょうが、
このような地味な兵法もあるのです。
 何かと派手なことを好むトランプ政権に見えますが、
意外にも、地味な戦法も使うのです。
 政治力があれば、こうした兵法を使ってもよいのです。
前述の豊臣秀吉は、兵法だけでなく、政治力を使うのも得意でした。
 北朝鮮は、核兵器完成まで突っ走るでしょうが、
問題は、その後です。
 核兵器は完成したが、
北朝鮮に対する「兵糧攻め」も完成していたという状態になるかもしれません。
 核兵器の運用と維持管理には、巨額の費用がかかります。
その費用が、どれほど巨額なのかは、
核兵器保有国であるアメリカは、よく知っているでしょう。
 経済大国である日本が、核兵器保有国にならないのは、
核兵器の運用と維持管理に巨額の費用がかかるからでしょう。

プルトニウム239 2012 9 23

書名 放射性物質の正体
著者 山田 克哉  PHPサイエンス・ワールド新書

 この本から興味深いところを引用しましょう。
「原子炉級プルトニウムと兵器級プルトニウム」
 プルトニウム239は、放射性元素でアルファ崩壊し、
その半減期は24000年であるので、
プルトニウムの半減期など全く気にせず、核燃料として使える。
 ウラン235を核燃料に使った原子力発電所からは、
燃料交換のたびに使用済み核燃料が原子炉から取り出され、
それを再処理(化学処理)して、
プルトニウム239を摘出するが、
それは、100%プルトニウム239でなくて、
望むプルトニウム239は、65%しか含まれていない。
 そして、これは「原子炉級プルトニウム」と言って、
「兵器級プルトニウム」と区別している。
 「原子炉級プルトニウム」は、プルトニウム239の含有率が65%で、
他の不純物が早期爆発を起こしたりするので、
そのまま原子爆弾の材料にしても大きな効果は得られないが、
「兵器級プルトニウム」は、プルトニウム239の含有率が90%以上で、
これは、原子爆弾に、そのまま使える。
だから「兵器級」となる。
 「兵器級プルトニウム」を直接「生産」できる原子炉には、
次の3種類がある。
1 高速増殖炉
2 黒鉛炉
3 重水炉
 日本に高速増殖炉は二つある。
一つは「もんじゅ」と命名されたものであり、
もう一つが「常陽」である。
(中略)
 日本には「原子炉級プルトニウム」が、
どんどん溜まっていっている。
 プルトニウム239の半減期は24000年であるから、
「ウラン枯渇」を考慮すると、
溜まった「原子炉級プルトニウム」をそのまま放置しておく手はない。
 また「原子炉級プルトニウム」をそのまま使うと、
未熟爆発などが起きて、その威力は激減するが、
一応、原子爆弾を作れないことはない。
 また非常に厄介だが、
さらに化学処理すれば、高濃度のプルトニウム239を作れないこともない。
 したがって、「原子炉級プルトニウム」であっても、
どんどん溜めていくと「日本は核兵器の準備をしているのか」などと、
IAEA(国際原子力機関)に疑いを持たれかねない。
(以上、引用)
 メディアによるプルトニウムをめぐる記事は、
不思議と、わかりにくいものが多いと思います。
何回読んでも難解な文章が多いでしょう。
(わざわざ、わかりにくく書いているのかもしれません)
 それに対して、この本では、
実に明解で、わかりやすく書いてあると思います。
 ところで、時々、外国から、
「本当は、日本は、核兵器保有国である」と言われる理由が、
これで、よくわかったでしょう。








































































































































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